補強プレートを外すことになった
エンジンマウントを交換するときに、下回りについている補強プレートを外す必要があります。この補強プレートは8つのフランジ付きボルトで留められています。
六角ボルト フランジ付き 31106772199
M10X35-10.9ZNS3
このボルトの締め付けトルクは、59 Nm + 90 degrees となっています。
トルク法と回転角法を併用しています。軸力を揃えるためですかね。弾性域締め付けなのか塑性域締め付けなのかよくわかりません。塑性域ならボルトは既に伸びているはずです。
以前ロアコンブッシュの交換で外した時にはそのまま再使用しました。1,2回くらいならいいかなと勝手に判断しました。
今度、エンジンマウントの交換で再度補強プレートの脱着が必要になります。新品を探すことにしました。
同じボルトが手に入らない
ところが、ネットで同じボルトを探しても日本では売っていません。海外のサイトにはあります。ディーラーで買うとお高いです。1本で580円。8本で4700円くらい。
純正を買うべきとはわかっていますが、毎回ボルトに高いお金を出すのもしゃくなので、何んとか汎用品で代用できないのでしょうか。
探してみると、強度区分10.9でM10x35の六角ボルトはありますが、フランジ付きボルトというのがありません。M10x30までならフランジ付きがあります。なら、六角ボルトに座金を使えば何とかなりそうです。
ネットでM10x35 10.9と座金を買ったら黒染だった
とりあえず、スペックを満たすボルトを買ってみました。8本で100円!
しかし、表面処理が黒染(四三酸化鉄被膜)なので防錆力に劣ります。BMWの純正はメッキされており、表面処理が異なるので指定の締め付けトルク値はそのまま使えないでしょう。
まず、M10x35 10.9 の締付トルクは、サンワ・アイ 締付けトルク(計算式)によると
M10 並目 強度区分10.9 トルクレンチ使用。表面油潤滑。トルク係数K=0.17 締付け係数Q=1.4。という条件で、締め付けトルク 56Nm 。
目標の軸力を出したいので、防錆と軸力安定のためにアンチシーズを使用するとすると、Loctiteのサイトよると、Loctite Silver Grade(アルミベース) の K-value 0.18。
トルク係数に関しては、アンチシーズは表面油潤滑の場合と同等。したがって56Nmあたりで締めればよいと勝手に解釈しました。ここからさらに90度回転させるのは躊躇します。純正ボルトは同一諸元であっても、TTY(Torque To Yield)ボルトとして専用に設計されているかもしれません。
そもそも再使用できないのか?
代用できないか考えてみたけど、そもそも再使用できないのでしょうか。
これに関しては過去から大論争が繰り広げられているようです。しかし、結論らしきものは見つかりません。
交換派: マニュアルに再使用不可と書いてある。塑性域締付であるから塑性変形しており、再使用できない。
再使用派: 実際に再使用して不具合が出ていない。整備工場でも再使用している(海外の掲示板)
私の思うに、ロアコンブッシュのボルトを含めてサスペンション関係のボルトは再使用不可となっているので、マニュアルに再使用不可となっているのが塑性域締付のためかどうかは不明です。繰り返し荷重で脆性破壊を招きそうなファスナーには定期交換を求めていると考えられます。
また、回転角法で締めていますが、弾性域回転角法なのか塑性域回転角法なのかわかりません。締付トルクが弾性限界の70%程度だとして、90度の回転で弾性域のギリギリで軸力をそろえることを狙ってるのかもしれませんし、塑性域まで締めてるのかもしれません。実際に実験しないとわかりませんね。
ちなみにディーラーに値段を聞いたときに在庫が無いので取り寄せると言われました。これの意味するところは?ディーラーはどうしてるんでしょ?
安心を買うつもりで新品を買うのもありか
結局、もったいないから迷ってるんですが、安心を買うなら新品を調達すべきでしょうね。恐らく私は再使用しますけど。
やはり、どっちつかずの結論となりました。